−剣正塾教本(No6)−

 「技の研究」−下段からの攻め−

 

一足一刀の間に立ち、「送り足」に、下段で打ち間に攻め入り、相手の変化を誘い、面、左小手、出小手を打つものです。大事なことは、相手の変化に応じて、瞬時に打突する部位を判断することです。


 下段に攻め入る時、相手はどんな変化、対応を示すのでしょうか。ただ下段に攻め入るのではありません。速く、鋭く攻め入ることを前提としてのことです。


(1)思わずのけ反る、(2)驚いて振り被る、(3)反射的に面に打ちに出る。さらには、片手突き、片手半面打ちが考えられます。ここでは、比較的反応の多い(1)〜(3)を想定し、技の稽古をします。


(1)攻めの勢いに押され、思わずのけ反った瞬間に面に打ち出ることです。他の二つの場合にも言えることですが、打ち間に入ることです。深く入り過ぎると次の打突が正しくできなくなるからです。


(2)攻め入った瞬間、反射的に両手を上げることがあります。攻めの勢いがあればあるほどこの対応が見られます。この場合は、瞬時に左小手を打つことです。中高生は、左小手を有効に打つことができていません。刃が左斜め下を向くように打つことを稽古しておくことです。


(3)下段に攻め入った瞬間、面打ちに打ち出ることが考えられます。備えがない場合は、面を打たれることになります。しかし、面打ちに来ることを予期している時には、出小手に変化することは可能です。


 技の稽古において大事なことは、つねに起こるであろう局面と対応を考えて、練習メニューをつくることです。
 下段に攻め入り、面を打つ。下段に攻め、振り被った瞬間に左小手を打つ。下段に打ち間に入り、面に打ち出る瞬間に出小手を打つ。この三つをセットに稽古することです。他の技の稽古においても同じことが言えます。


 例えば、中段の構えで打ち間に攻め入り、面を打つという技の場合、面を打つことだけを稽古するのではなく、相手の面打ちを想定し、胴打ち、出小手をセットに稽古することです。ただし、初心者の場合は、この限りではありません。


 打ち間に攻め入る時に留意しなければならないことは、入ると同時に打ち出さないことです。相手の変化を瞬時に判断し、対応するためです。瞬時とは、1秒の10分の1、否、100分の1ほどの時間のことです。これができずに打ち出してしまうために抜き胴、応じ返し胴、出小手に変化され、打たれることになるのです。入った瞬間に相手が抜き胴に変化した場合には、前に出ることなく、体を引いて面を打つか、竹刀を切り落として、面を打つことになります。


 中段からのセットは、面だけではなく小手打ちも想定し、面打ち、小手打ち返し面、面打ち返し胴と技を組み替えることも必要となります。いつ、どんな技を習うのか、大事なことです。


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剣正塾教本 −高校生を対象にした技の研究−

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