−剣正塾教本(No2)−

「技の研究」−大きな面打ち−

 

「大きな面打ち」とは、振り被っての面打ちのことです。留意することは、「切り返し」とまったく同じです。一足一刀の間に立つこと、接刀すること、左の握りが頭上に来るほどに振り上げ、打ち下ろすこと、竹刀の先と手元が同円を描くように打ち込むこと。同時に、左腕を伸ばさないこと、を付け加えています。近年、どうしたことか、面を打つ時に意識的に左腕を伸ばしている生徒たちが見受けられます。風説では、「指導されている」とか。意図することが理解できません。打ち込んだ時に手元が早く下がり、竹刀が立った状態で、面カネを打っているのには、こうした指導があってのことなのかも知れません。

「切り返し」のところでも強調したことですが、「無意識にできるまで、つねに注意を喚起すること」です。見過ごしてしまうとでき掛けたことが忘れられたり、自己流に奔(はし)ってしまうからです。

 

「技の研究」−小さな小手・面打ち−

 

留意することは、

(1)一足一刀の間に立つこと、

(2)接刀すること。小手を打つためには、小手が空いていること(隙があること)が前提です。接刀し、中心を取る合う。相手の竹刀を抑えることになります。小手を打つ時、竹刀を上又は下に抜く。抜いた瞬間に抑えが外れ、相手の竹刀は反対側にわずかに振れ、小手を打つ機会が、瞬時に生まれることになります。

 

小中高校生は、上に抜くことを基本とすることです。下に抜いて打つためには、手首を柔らかく使うことができなけれなりません。打ちが弱くなるからです。

 

(3)小手・面打ちで瞬時に判断しなければならないことに打ち間への入り方があります。瞬時に入るか、詰めて入るか、です。高校生には、瞬時に「送り足」で入ることを指導しています。他の技の習得との関係からです。

 

(4)小手は、剣道形二本目の打太刀の要領で強く打ち、瞬時に左足を引き付け、面を打つことです。左手の握りが右の握りの下方にあるように打つことがありますが、これでは、打ちが弱く(中には、空を打っている)、小手打ちは「捨て技」となってしまいます。「小手打ちよりも面打ちを強く」という指導のためではないかと考えられます。小手も面も強く打つ、と指導することが大事です。

 

面打ち、小手打ち、小手・面打ち、いずれも相手の横に抜けるように打つ姿が見られます。体あたりするつもりで打ち込むことです。相手にとっては、正面から打ち込まれると応じることが難しいからです。

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剣正塾教本 −高校生を対象にした技の研究−

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