−剣正塾教本(No10)−

 「技の研究」−体あたり−

 

 (1)〜(9)までの技を補完する基本練習として取り入れているのが、「体あたり」と「打ち込み棒を使っての打ち込み」です。「体あたり」は、体の移動、言い替えれば、連続して技を出すために不可欠なことと考えてのことです。「打ち込み棒を使っての打ち込み」は、送り足、歩み足を完璧なものにするためです。


(1)「体あたり」
 一足一刀の間合いから「送り足」に打ち間に入り、大きく振り被って正面を打ち、瞬時に腕を降ろして体あたりし、左足から「送り足」に一足一刀の間合いに下がり、再び同じ要領で体あたりを3回繰り返し、4度目に、正面を打って、抜ける。これを3セット、繰り返しています。「体あたり」で留意することは、

 

@一足一刀の間に立ち、一足一刀の戻ること。A腕を鍔競り合いの位置に引き(降ろし)して体あたりすること。B「構えの足」で体あたりすること。左足が右足の前に来ないようにすること。体あたりした瞬間、ひっくり反る恐れがあることから特に留意することです。C元立ちは、鍔競り合いの態勢で受け止めること。右足を右斜め後に、左足と平行になるように引くこと。膝に「ため」をつくり、受け止めること、です。


 体あたりし、面を打って、下がるという練習もありますが、体あたりを確かなものにするために、ここでは、引き技は取り入れてはいません。


(2)「打ち込み棒を使っての打ち込み」
 何故、打ち込み棒を使うのか、というと打ち降ろした衝撃を吸収するからです。面や打ち込み台の場合は、打った衝撃で弾き返されてしまいます。上達した人にとっては、問題はありませんが、上達途上の人にとっては、手の内を絞めることを覚える上からも打ちが吸収されることが必要です。


 元立ちが片手で打ち込み棒を持って立つ。打ち込む方は、4〜5メートル離れて立ち、「送り足」で前に進み、打ち間に入った瞬間に大きく振り被り、打ち込み棒を打って、抜ける。これを繰り返します。20回、30回と繰り返し、体に覚えてもらうことです。


 同じように「歩み足」で進み、打ち間に入った瞬間に打ち込むことです。留意することは、目で測り(目測)、竹刀の正しい部位(竹刀と先皮と中結の中間)で打つことです。しかし、これが中々上手くできません。繰り返し、繰り返し、意識して練習する事です。


 時間的な余裕がある場合には、補完する基本練習として、(3)「大きな踏み込み」がありあす。竹刀を持たず「構え」の歩幅に立ちます。左足を固定し、右足を「すり足」に前に大きく出し、低い構えの態勢を保ちます。これを10回、20回と繰り返します。普段、右足を上げて踏み込むために歩幅が狭くなっています。これを修正するためです。右足に負担が掛かるためムリをしないことです。

 

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