−剣正塾教本(No4)−

「技の研究」−小手・受け流し面−

 

小手打ちを受け流して面を打つ、という技です。「受け流し」は、剣道形四本目、相手の右肺突きを受け流す仕太刀の応じ方と理解することです。

 

この技で最も留意することは、相手が思わず小手打ちに出るほどに鋭く、速く、打ち間に攻め入ることです。

(1)一足一刀の間に立つこと、

(2)鋭く、速く、打ち間に攻め入ること。

(3)正しく受け流すこと、そして、

(4)大きく面を打つこと、です。

 

以前、女子高校生に指導したことがありましたが、上手く使うことができませんでした。男子の練習メニュ−に取り入れる時にもためらいがありました。しかし、結果的には、約10か月ほどで稽古の中で使えるほどになっていました。難儀したのが、「受け流す」という形をつくることでした。左手の握りの部分を上に持って来ることが上手くできなかったからです。同時に右手の使い方がありました。握るのではなく、手の平(主として親指と人指し指の間)で支えるようにして受け流し、瞬時に握り返し、面を打つことでした。

 

「受け流し」は、小手打ちに対してだけではなく、胴打ち、面打ち、突きに対しても使うことができますが、高校のメニュ−の中には入れていません。稽古、試合の中で「使えること」を前提に、最低限度の技の習得に絞ってのことです。

 

小手打ちに対する応じ方には、まだいろいろあります。例えば、刃がやや左斜めを向くように竹刀の右側面で抑えて応じ、手首を返して面を打つという技があります。応じ方が速い場合は、左の側面で受け止めることになります。この時には、瞬時に手首を返して面を打つことです。「三角矩」に構えた時には、この技を容易に使うことができます。

 

小手打ちに対して、切り落とし・面という技があります。切り落とす時には、右手首を支点に左手を使います。切り落としは、胴打ちに対しても面打ちに対しても有効に使うことができます。いわゆる「小手相討ち・面」という技は、これを見誤ってのことでは、と考えます。

 

中高生に指導されている「小手相討ち・面」又は「小手打ちに対する小手・面」という打ちを指導することはありません。小手を切られる(打たれる)ことを前提とする技は、刀を前提とする「剣道」に相応しくないと考えてのことです。「皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を切り、骨を切らせて命を断つ」ということは、闘いに臨む決意を示したもので、打突、技として用いるということでないと思います。

 

小手打ちに対しては、すり上げて面を打つ、という技もあります。さらには、抜く、開く、と技は多様です。しかし、今は、高校生の練習メニュ−には入れてはいません。いずれ次の段階の練習メニュ−をつくる時には考慮されることになるだろうと思います。

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剣正塾教本 −高校生を対象にした技の研究−

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