出版物の紹介
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●連載 剣正塾教本
bP 警視庁剣道教本を読む
bQ 高校生を対象にした技の研究(新連載)
 
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剣道第三基本5
 
3、打突(応じ返し技)
−要義−
応じ返し技とは、相手が打ってくるのを体をかわしながら受け流し、体勢の崩れるところをすかさず打つ技である。 本技は、昔の流派には竜尾、右施刀、左転刀等と呼ばれ、打ってくる刀に逆わず、かえってその刀勢を利用して受け流し、体勢の崩れるところを変化して打つところに妙味がある。
体のかわし方、刀の受け流し方に工夫を要する。即ち足の運び方はすなおに、掌の裡の作用が柔軟でなければならない。

「教本」には、1面を右に応じ返し、面の打ち、2小手を右に応じ返し、面の打ち方、3小手を右に応じ返し、小手の打ち方の三つの技が収められています。大事なことは、相手の打ちを受け流すことです。日本剣道形四本目、仕太刀の受け流し、を想定することです。しかし、手首を使わない(手首の使えない)現代剣道人にとって、この技の習得は、容易なことではありません。手立てが必要です。
打ち間に攻め入る。相手が表から竹刀を抑える。相手の抑えに逆らわず、左の握りが上、右の握りが下に来るように左手をやや左前に出して受け流す。振り被り相手の面を打つ。この稽古をすることです。特に左の握り(手)の使い方に留意することです。
手(握り)の使い方ができたら左足を左前に出して受け流す稽古に移ることです。

−面を右に応じ返し、面の打ち方−
(これは)相手が面に打ってくるのを、体をかわしながら右に受け流し、すかさず面を打つ動作である。
左足を左斜めに踏み出し、体をかわしながら左拳を高く頭上に上げるようにし右手の握りをゆるめ、剣先を右下にして旋回しながら、打ってくる刀を右鎬で受け流し、右足を左足の後ろに正しく踏むと同時に相手の面を打つ。

2小手を右に応じ返し、面の打ち方3小手を右に応じ返し、小手の打ち方も要領は同じです。ただ、上げる左の握りの位置は、面打ちを受け流す時よりやや低めに来ることになります。相手の打ちを受け流さず、受け止めてしまうと(手首の)返しが難しくなります。相手の打ちを待つのではなく、攻めて、打ちを誘い、受け流し、返して打つことです。
高校生に約10か月間、この技の稽古をして貰っていますが、なかなかできない技の一つです。手の使い方に問題があってのことです。
 
剣道第三基本6
 
3、打突(切り落し技)
−要義−
 切り落し技とは、相手が打突してくる刀を切り落すと同時に打突する技である。
 本技の妙技は一心一刀にあり、切り落しと打突を一呼吸で、縁が切れないように動作すること。そしてこれは、石火の位または間髪を入れずとも云う。習技にあたったは、この意味を体得し、動作を軽快迅速にできるように練習することはもちろん、特に気持ちの縁を切らないように、切り落しから打突まで、一呼吸、一拍子で動作することが肝要である。

 現代剣道が忘れている技の一つに「切り落し」があります。同時に違えている技の一つとも言えます。中高校生に「小手相打ち・面」という打ち方を指導されていますが、あれは「小手切り落し・面」を違えてのことだと思います。「剣道」には、気概としてはありますが、切られることを前提にした技はありません。「打つこと」ではなく、「切ること」を前提とした「剣道」は、「切り落し」なくして成り立たないと言えます。「剣道」を求める者、「切り落し」に熟達する必要があります。「教本」には、1小手を切り落し、面の打ち方、2胴を切り落し、面打ち、の二つの技が収められています。この他に、面打ちを切り落す、突きを切り落す技も考えられます。最も効果的な技を選択して使うことが大事です。

−小手を切り落し、面の打ち方−
 (これは)小手を打ってくる刀を切り落すと同時に、面を打つ動作である。小手打ちに対して、気あたりの気持ちで相手の刀の中ごろを、物打ちどころで斜め右に切り落すと同時に、踏み込みながら刀を半ば振り上げ相手の面を打つ。

 竹刀で切り落す時は、右手首を支点に左手首を使い、小さく切り落すことです。日本剣道形二本目、打太刀の刀(木刀)の使い方のように剣先が、手元よりやや下に行くように切り落すことです。又、「切り落し」と「面打ち」が、「小手(相打ち)・面」打ちに見間違えるほどに連続して(縁を切らない)打つことです。一心一刀は、一刀流の起源とも言われています。
 (右)胴打ちを切り落す場合は、左足を左斜めに引きながら切り落すと同時に右足から踏み込んで面を打つことです。要領は、「小手」と同じです。鍔競り合いからの胴打ちに対しても「切り落し」は有効です。この場合は、剣先で床を打つほどに深く切り落すことです。
 

剣正塾教本 −警視庁剣道教本を読む−

目次
剣道第一基本1〜2剣道第二基本1〜3剣道第二基本4〜5剣道第三基本1〜2剣道第三基本3〜4剣道第三基本5〜6剣道第三基本7〜