出版物の紹介
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●連載 剣正塾教本
bP 警視庁剣道教本を読む
bQ 高校生を対象にした技の研究(新連載)
 
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剣道第二基本4
 
 3、打突(応じ技)
 面を左に応じ、胴の打ち方。(これは)相手が面に打ってくるのに応じ、踏み込んで胴を打つ動作である。左鎬で左に応じ、右足より右斜めに踏み出すと同時に、刀は左肩の方向より円を描くようにして、矢筈に胴を打つ。
 応じ方。(これは)出る気持ちで応じることが肝要である。この際両手をやや左斜めに伸ばし、右拳はほぼ肩の高さ、その位置は体の中心より少し左、左拳は乳の高さ、その位置は右拳よりわずかに左方とし刀の左鎬で応じる。そしてその応じるところは、中墨をはずれないことが必要である。

 相手の面打ちに対して、竹刀の左の側面で応じ、返して右胴を打つ技です。応じる。相手の打ちを待って受け止めることではありません。相手の打ちの方向を変えて「いなす」ことでもありません。すり上げて相手の打ちを失速させることでもありません。相手の打ちを「迎え受けて返す」とでも表現すればいいのでしょうか。大事なことは、体をやや左斜めに出す気持ちで、竹刀の(唾元ちかくではなく)先方で応じ、やや右斜めに出して打つことです。右胴(相手の右の体側)を刃すじを正し(竹刀の右側面で打つ『平打ち』にならないように)、(腕ではなく)手首を使い、打つことです。よく使われる技ですが、正しく使われることは意外に少ないと言えます。一度見直すこと、必要です。

 面を右に応じ、左胴の打ち方。(これは)相手が面を打ってくるのを右に応じ、左胴を打つ動作である。右足右斜め前に踏み出すと同時に刀の右鎬をもって、打ってくる刀を右に応じ、左足より左斜め後に引くと同時に、刀は右肩の方向より円を描くようにして矢筈に左胴を打つ。 応じ方。左の応じ方と同じ。ただし面に応じるがため右拳は肩と水平程度に上がる。

 左胴(いわゆる逆胴)の打ち方について留意することです。二刀を前提とする「剣道」では、左胴は、刃先をやや下に、手元がやや上に打つ(切る)ことになります。左に差した柄と小太刀を考慮し、打つ(切る)ことになるからです。(右胴打ちと同じように)刃先を上に、腕をちぢめて打ち抜く打ち方や相手に自分の体の右側面を向けるほど体をひねる打ち方が、剣の理法に適うのか、どうか、検証することです。左胴を打つと同時に左足、右足と引き、正眼に構え、残心を示す。めざしたい「剣道」です。
 
 
剣道第二基本5
 
3、打突(応じ技)
 突きを左に応じ、喉の突き方。(これは)相手が喉を突いてくるのを左に応じ、踏み込んで喉を突く動作である。(相手の突きに対して)体を退きながら刀刃を右に返し、乗り気味にこれを左に応じ、すかさず踏み込んで(相手の)喉を前突きに突く。
 応じ方。体を退きながら両手をのばさず、縮めず、中段の構えのまま刀刃を右に返し、乗る気持ちで左に応じるものとする。そしてこの際の掌の裡は、右拳を左に絞り左手の握りは寛めて元のままとし、柄だけ右に返るようにする。体は退きながら気は乗るのであるが、乗る気にとらわれると、体を退く時手を伸ばすようになる。手を伸ばして応ずれば、突くときに一旦退くこととなって動作が遅れる。両手は中段の構えのままで、刀刃を右に返して応じる。

 日本剣道形の三本目を想起することです。しかし、形は刀を使い、「剣道」では竹刀を使うという違いがあります。大事なことは、竹刀を「刀と同じ機能」として使うことです。左手(握りの部分)が右手(腕)の下に来るように、竹刀の左側面で相手の竹刀を上から抑えように応じ、手首を返して正面突きに突くことです。
 相手の突きを上から抑えるように応じることは、稽古をすれば比較的容易にできることです。しかし、手首を返して前突き(正面突き)に突くことは、決して容易なことではありません。手始めに手首を返し、竹刀の刃を左に向け、平打ちのように突くことです。応じ・突きが一挙動できるようになったら刃すじを正し、正面突きに突くことを覚えることです。さらには、突きから面打ち、面打ちから左右の胴打ちに変化することを習うことです。

 「教本」の突きには、但し書きはありませんが、表からの表突き又は前突き(正面突き)を想定し、応じています。表からの突きに対しては、日本剣道形七本目、入れ突きに支えて応じることもできます。
 突きには、裏からの突きもあります。裏からの裏突き又は前突き(正面突き)に対しては、竹刀の刃を左に向け、竹刀の右側面で相手の竹刀を上から抑えるように応じ、手首を返して前突き(正面突き)に突くことです。対応は表突きに対するのと同じです。
 不意の突きに応じることは至難のことです。しかし、突きに誘うことがで きれば応じることは容易です。「攻めて、打ち(突き)出させて、応じて打つ(突く)」。剣の妙技。ここでも求められています。
 

剣正塾教本 −警視庁剣道教本を読む−

目次
剣道第一基本1〜2剣道第二基本1〜3剣道第二基本4〜5剣道第三基本1〜2剣道第三基本3〜4剣道第三基本5〜6剣道第三基本7〜